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今日ですべてが終わるさ

今日ですべてが変わる。

今日ですべてがむくわれる。

今日ですべてが始まるさ。

泉谷しげる氏の春夏秋冬の歌詞である。

 

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こんにちは、「うつ」の診断書をもらってしまった ヨツバ君です。

 

何かが変わる。良くも悪くも、そして始まる。何かが。

 

一昨日、診断書を会社に提出した。

診断書の内容は、「うつ症状で1カ月間の休職を要する」と書かれていると予想される。

なぜ予想かというと、診断書の内容を見ていないからだ。

病院の先生に診断書の中身を見て、家族で休職について考えたいと言ったところ、

「診断書は家族に見せる為に書くのではない、会社に見せるために書くのだ。封筒を開けた状態で会社に提出することはタブーだ。」

厳しく言われてしまった。

従い、実際の文言は開けてみるまで分からなかった。

過酷な労働が原因で~、長時間の~などと、赤裸々に書かれていたらどうしようと不安だった。

家族で話し合い

話は前後するが、会社に提出する前に、家族に病状を告げ、休職が必要と診断されたことを報告した。

診断書をもらったはいいが、本当に休職すべきか私は迷っていた。

家内の反応は、意外に冷静だった。先生の指示通り休職し、うつを完治させて職場復帰するか別の道を進むのかゆっくり考えるというものだった。

しかし、完治したとしても職場には居場所がないだろ。それどころか、休職中に解雇される可能性もある。

別の道を進むにしても、年齢的な事を考えると職業の選択の幅はかなり狭い。いや、選択の幅など無い。

今後の事を考えると休職を選択することに二の足を踏んでしまう。

 

決断できない私を見て、家内は苦虫をかみつぶしたような顔をしていた。

君の両親や私の両親に相談して、それから決断を下しても遅くないのでは?

そんな優柔不断な私に家内の感情が爆発してしまった。

「なんでこんな簡単な事も決断できないの、今まで会社に利用されてきたのよ!今度は診断書を使って会社を利用するの!それぐらい図々しく生きられないの?今のままじゃ うつが治っても何も変わらないよ!」

ハンマーで頭を「ボカン!」とされたような衝撃だった。

思考力が低下している私の頭にも響き渡る言葉だった。

あまり過激な事を言わない家内の衝撃の言葉に、おもいっきり背中を押されてしまった。押されたというかドロップキックをされたような感じだった。

(会社を利用する・・・考えたこともなかった)

それで診断書を提出して休職する決断をした。

 

あわせて読みたい

 

診断書を会社に提出

春をながめる余裕もなく

夏をのりきる力もなく

飽きの枯葉に身を包み

冬に骨身をさらけだす。

泉谷しげる氏の春夏秋冬の歌詞である。

 

今日、私は骨身をさらけ出すことになる。

 

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会社にはいつもより早く出社してしまった。

真冬の朝、だれもいない事務所はひんやりとしていた。

事務所の照明をつけ、暖房のスイッチを入れた。

自分の席に到着すると、パソコンを起動させ、カバンに忍ばせた診断書の入った封筒を取り出した。

この封筒に今後の人生がかかっている。

封筒を天井の蛍光灯に透かしてみた。なんて書いてあるか見えないかなと。

何も見えなかった。

その時、事務所の入り口から声がした。

「おはようございます!」

同僚が出社してきた。

私は、慌てて手にしていた封筒をカバンに戻した。

「今日は早いですね。何かあったんですか?」

いきなり鋭い質問をされてオロオロしたが、平静を装い、何もないことを伝えた。

何もない事はない。今日は運命の日なのだ。

その後、次々と同僚が出社し、最後に上司が出社してきた。

皆が集またところで、朝礼が始まった。報告事項や本日の予定などが順番で告げられ、普段通りの朝礼が終わった。

各々が机に戻り、業務の準備に取り掛かった。上司は机でメールのチェックを始めた。

声を掛けるには今しかない。

私は診断書の入った封筒を手に勇気を振り絞って、上司に声を掛けた。

「ご相談したいことがあるのですが・・・」

上司がパソコンから目を上げ、「おお、なんだ?」と問いかけてきた。

ここではちょっと相談しにくい内容でしてと遠慮がちに言うと、事務所の片隅にあるパーテーションで仕切られた打ち合わせスペースで話そうと上司が切り出した。

そこではちょっと・・・できれば商談部屋でご相談したいのですが・・・

商談部屋を選んだのは、外部に声が漏れないからだ。

商談部屋と告げたとたん上司の顔色が変わった。上司だけではなく、事務所にいる全員の顔色が変わった。

商談部屋はお客様と打ち合わせをする部屋、社員同士で入室することはめったにない。

社員同士で入室する場合は、ほとんどの場合が退職することを上司に報告する場合である。

皆の「えっ・・・」の目線がとてもきつい。

その時、上司の携帯が鳴った。電話相手としばらく話したのち、

「悪い、予定が入った。午後2時からなら大丈夫だが」

私は了承し、自席に戻った。

上司が事務所を出た後、同僚から質問攻勢にあったしまった。

「辞めるの?ねえ辞めるの?」

「新しい職は?」

皆に会社を辞めないことを伝え、大した話じゃないことを告げたが、誰も信じてくれなかった。

私も業務が入ったので、事務所を後にした。

午後2時 事務所にて

午後1時50分ぐらいに事務所に帰社した。5分ほど遅れて上司も帰社した。

皆、外回りに出ているようで、事務員さん以外は誰もいなかった。

「いつでもいいぞ」上司の声に答え、私は診断書の入った封筒を手にした。

そして、商談部屋に二人で向かった。

テーブルを挟んで向かい合わせにソファーに腰を掛けた。

上司の顔が強張っている。「 退職 」この言葉が出ると思い込んでいる。

「突然の話で恐縮ですが、昨日病院に行ったら、うつと診断されまして、そして診断書を頂きました」そう言って、未開封の封筒を手渡した。

怪訝な表情浮かべながら上司は封筒を開封した。

中に入った診断書を見て、怪訝な表情から驚きに変わった。

診断書から目線を上げると、一呼吸おいて

「分かった」

とのことだった。

内容を私も見ていないと伝え、診断書を見せてもらった。

 

病状:うつ症状  病気療養が必要なため、1ヶ月の休職を要す。

 

とてもシンプルな内容だった。診断書を貰ったことが無いので、これで大丈夫?と思ってしまった。

 

明日から休むか?とのことだったが、引き継ぎ等もある為、4日後から休職することとなった。

以外にすんなり休職が決まった。

「クビだ」と言われることも覚悟していたから、少し落ち着いた。

その後、いつから症状が出ているかなどの話を行った。

一通りの話をした後、「療養中は仕事の事は何も考えるな、早く復帰しようと焦るな。そして、健康になって戻ってきてくれ」と意外な言葉を掛けられた。

主要メンバーには私の症状を伝えたいがとの上司の問いかけがあり、問題ない事を伝えた。

20分程度では話は終わり、上司と私は商談部屋を後にした。

暫くして、事務所に戻った主要面メンバー数人が上司と商談部屋に向かった。

「ひょえ~!」と悲鳴のような声が聞こえた。

私が抜けることで、想像を絶する負担が他のメンバーにのしかかる。その為の悲鳴だろうと察した。申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

10分ほどすると、上司を先頭にメンバーが戻ってきた。

何故かみんな笑顔だった。

「仕事の事は忘れて、ゆっくり休んでね」

口々に優しい言葉を掛けられた。

中には、「俺、こういう厳しい状況大好き!」と言う者もいた。

変態だから発した言葉ではない。

私に精神的な負担を掛けまいと、思いやりから出た言葉だということがすぐに分かった。

その時、いいメンバーに恵まれていたんだなと初めて気が付いた。

私の会社はたぶんブラック企業でしょう。しかし、私の部署はチームワークがあり、思いやりのある社員が多かった。

いつも近くにいるのに、なんで気が付かなかったのか。

このような状態で初めてわかる人のやさしさだった。

早速、進行中の業務の引継ぎが始まった。外出業務が免除され、引継ぎに専念するよう言われた。

膨大な量を引き継がなければならない。残ったメンバーが困らないよう精一杯の引継ぎをしたいと思う。

 

これから先、どうなるか分からないが、何かが始まる。

 

今日ですべてが終わるさ

今日ですべてが変わる。

今日ですべてがむくわれる。

今日ですべてが始まるさ。

 

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