世間を騒がせているブラック企業。

就職や転職では絶対に避けたい企業である。しかし、一度は経験した方が良い企業だと思っている。

ネットやテレビでブラック企業に対する情報が流れるたびに、うちの会社はもっとスゴイぜ!なまぬるい!と思われる方も少なくないと思う。

雇用形態も終身雇用から使い捨てに切り替わった昨今、ブラック企業は増え続け、労働基準法を無視した働き方が標準的な働き方となりうる可能性が高い。

但し、ブラック企業と言えども、全体の企業構成から見た場合は「グレー」であったり、「限りなく黒に近いグレー」、「単なるブラック」に過ぎない場合が多い。

ブラックの中でも、最高位にランクされるのが「king of ブラック企業」である。

長年にわたり培われたブラックとしての要素を極限までに高めた「king of ブラック」。

その伝統は脈々と受け継がれ、一子相伝のごとく他社や世間へ漏れ伝わることは一切ない。

これからの先の将来を考えた場合、一度は就職すべき企業である

4回の転職により、様々な業種、業態を経験した私が「king of ブラック」を経験した方が良い理由について語りたい思う。

ちなみに、私が経験したキングは企業ではなく部署である。それも一部上場の歴史ある会社の一部署である。

配置転換を希望できる会社なら、キングへの異動をお願いすることも出来るはず。
但し、キングは辛い。その辛さは想像を超えている。

永久就職としてキング オブ ブラック企業を考えてはいけない。あくまで一時的な経験としてである。
研修の一環としてである。お金をもらって最高の経験を積んでほしいと思う。
心の準備ができた者は、その際の参考にしていただきたい。

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目次

日本の企業構成

日本に拠点を置く企業の「働く困難さ」を基に構成を示したのが下の表である。
ブラック相関図

「king of ブラック」を頂点とするピラミッド構造となっている。
ほとんどの企業が限りなくクロに近いグレーからブラックの構成であることがお分かりいただけただろう。

皆のあこがれるホワイトは、限りなく少数の企業であり、就職や転職できる可能性は限りなく0%に近い。
また、それと同じく「king of ブラック」も少数である。
こちらもホワイトと同じく就職や転職できる可能性は、かなり低い確率である。

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ホワイト企業とキング オブ ブラック企業の共通点

ホワイトとキングには共通点が多い。当然に、働き甲斐以外の要素での話である。

まず、就職先や転職先として見つけ出すのが難しい点である。ホワイト企業の場合、自身が働いている会社がホワイトとは気が付かず、世間のすべての企業が同じであると考えてしまうため、社員にとって働きやすい会社であることが周りに伝わっていない。周りもホワイトだとは判別することが難しい。

一方、キングは、キングだと世間に気づかれてはまずい為、社外に漏れ伝わらない様、情報の統制、管理が徹底されている。その手法は採用においても徹底され、通常の企業より時間をかけて採用する者を厳選していく。

そしてキングに晴れて認められたものは徹底した生活環境の管理が行われるため、企業の実態が外部に伝わることは決してない。但し、昨今はインターネットなどの情報インフラの発展が足かせとなり、思うような人材を確保できていないのも事実である。

また、給与面でも共通している。以外にも両者とも優遇されている場合が多い。

ホワイトが優遇されている理由はあえて書く必要はないが、キングが優遇されている理由は逃がさない為である。しかし、時給で換算すると悲しい結果となる。

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キング オブ ブラック企業の条件

キングと呼ばれるにはそれなりの条件がある。私が考えるキング オブ ブラック企業の条件とは次のような内容である。

就業時間は24時間

そもそも就業時間の概念がない。生きている時間そのものが就業時間である。プライベートの時間、家族との時間は取れるはずもなく、睡眠時間も取れない。出張に使用する新幹線などで運が良ければ寝ることができる。

1年間で30人以上辞めている

規模の大小にもよるが、上司を含め6人程度の部署で、年間の離職者が30人以上である。次々と人が入れ替わる為、新入社員が入ってきても名前を憶えない。1週間もするといなくなるし、一度も顔を会わさずに去る者もいる。

理不尽な扱い。パワハラはあたりまえ。

尊厳などと言う概念は無い。人間など使い捨ての部品である。

部品扱いと同じなので、壊れたら取り換えるだけである。

パワハラが普通の状態で、コミュニケーションの一環ぐらいの感覚である。

しかし、壊れそうな人間には最後の力をふり絞らせるため、想像を絶する暴言などが散々浴びせられる。

最後だから、骨の髄まで使用する為、仕方ない行いなのだ。

特に、次の人員が決まっていない時は、パワハラが凄まじい。

膨大な業務量 10人分を1人でこなす

人員が極端に少ない為、10人分の業務量を毎日こなす。無理なのは業務を与える側も理解している。限界まで、壊れるまで与え続ける。

入社日から即戦力

入社初日から即戦力だ。業務の知識が無い状態でも即戦力だ。

知識が無くても初日から出張に行くこともある。

不安も多いが、諦めと覚悟が必要だ。

引継ぎなどない

前任者からの引継ぎなど無い。前任者が既にいないからだ。

前任者がいないからあなたが就職しているのだ。何もわからない状況で様々な業務をこなしトラブルを解決しなければならない。

判断力、交渉力、分析力、コミュニケーション能力、などをフル動員させて困難を克服するしかない。

休職中の社員が3人以上いる

規模の大小にもよるが、上司を含め6人程度の部署で、3人が休職中で来ていない。
6-3=3人しか現在はいないことになる。

休職などせずに退職すればと思うが、退職してしまうと、人員が0になった時に、強引に連れ戻すことが出来ないため、あえて休職扱いとしている。

休職中の本人は既に退職届を出しているが、会社側が受理していない可能性が高い。

ちなみに、私の退職届も今だに受理されていないようだ。

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出社している社員が壊れている

どのように表現して良いか難しいが、とにかく壊れている。入社の挨拶の際に壊れていることに気付く。壊れるとこのようになるのだと思い知らされ怖くなる。

取引先から相手にされない

取引先に行っても相手にされない。直ぐにやめてしまうため、「担当者」とは思っていない。

自宅に来る宅配便のお兄さんを覚えていないのと同じである。但し、2か月程度働いていると、担当者として覚えてくれる。

そしてものすごく同情され「あの会社で2か月も続いてるの。凄いね君!」と心の底から褒めてくれる。

半年も働いていると「もう限界だよね。うちにこない」と誘われる。

下請会社からも相手にされない

下請けの会社からも相手にされない。直ぐにやめると思っているから。

下請け業者の担当者の方が長く商品に関わっているため詳しい。だから下請の業者からも相手にされない。

但し、一ケ月程経つと、「よく続きますね」と尊敬に近い言葉を投げかけられる。

二か月続くと「絶対に辞めないでください」と懇願されることになる。キングは下請にも多大な影響を与えているからである。

半年もつと「うちに来ませんか」と誘われる。

歓迎会は入社2か月以降に開かれる

通常1ケ月以内に退職してしまうため、2か月以上たたないと歓迎会は開かれない。

歓迎会が開かれることで、初めて社員として認められ名前を覚えてもらうことができる。

こいつは使えると認められた瞬間である。私の場合は3か月たって歓迎会が開かれた。

一部上場企業であったが、わざわざ専務が駆けつけ「期待している」「辞めるな」と何度も言われた。

また、他部署の社員もたくさん駆けつけ「辞めないでください」と懇願された。

人員の入れ替わりが多い為、他部署にも多大な迷惑を掛けていたからだ。それらの言葉を聞き、こみ上げるものがあった。

それは、久しぶりに人間としての扱いを受けたからであろう。当然、次の日からは通常の部品扱いに戻ったが。

king of ブラック企業の就職、転職を勧める理由

先の表で説明したように、「king of ブラック」を頂点とするピラミッド構造となっている。

キングを勧める理由は、ただ一つ。キングを経験するとどの会社でもやっていけるからである。

間違ってもキングで長く勤めようなどと思ってはいけない。最長でも1年である。

どの企業に就職してもいいようにスキルを高めるために一時的に就職するだけである。

研修と割り切って働かないと色々と失うことになる。
一時的であれキングで働くと、下の表のようになる。

ブラック相関図2

一度でもキングを経験するとほとんどの会社がホワイトと思えてしまう。

・毎日PM11:00に帰れる。なんていい会社だ。
・休日に半日しか会社に行かなくて良い。なんていい会社だ。
・今日も4時間は家に帰れる。素敵な会社だ。
・今週は1回しか理不尽な理由で怒られてないぞ。いい上司だ。

このように、前向きに毎日を過ごすことができる。

その成果は直ぐに業績や評価となって現れる。キングでの経験を基に仕事に取り組めるのでブラックでも直ぐに結果を出すことができる。

結果を直ぐに出すことで評価もすぐに上がる。私の経験で恐縮だが、キングを経験した後の普通のブラック企業で1年目で主任に昇格した。

通常は5年かかるとのこと。

体にも変化が現れる。超人並みの働き方から異常な働き方に変わることで体調が良くなる。
少ない時間であるが睡眠もとれるので体調が良くなる。
また、理不尽な扱いが少なくなるため心にも変化が現れる。日々ポジティブな思考になる。

ホワイト企業、グレー企業で働いている方

ホワイトに運よく入社できても、他の企業も同様の雇用形態、社内風土(働きやすさ)だと勘違いをしてしまうため、自分がホワイトに従事していると気づく者はいない。

また、ホワイトだと思って入った会社がグレーであったり、限りなく黒に近いグレーである可能性が高い。

それらに入社した者、従事している者は口々に「うちはブラックだ」と声高に叫ぶ。ただ、グレーや限りなく黒に近いグレーに就職できた者は今の日本においては勝ち組である。これらの企業で弱音を吐いていては、残念ながら今後の日本社会で生き抜くことが難しい。

しかし、ホワイト、グレー、限りなく黒に近いグレーで働いていた者が、自分の可能性に掛けてみたい!もっと優遇された会社に勤めたい!などの理由で安易に転職してしまうケースが後を絶たない。

隣の芝生が青く見えるのも理解できるが、青ではなく黒である。その結果「こんなはずではない」と次々と転職を繰り返すことになる。それが私だ。

最終的な受け入れ先がキングしかない場合もある。その時に、最初の就職先が一番良かったと後悔しても後の祭りである。

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10年後の雇用体系

更に10年後には今よりも深刻な状況になっている可能性が高い。
その状況を予測したのが下の表である。

ブラック相関図3

ホワイトは消滅し、キング オブ ブラック企業が大幅に増えている。

また、注目すべきはキングを上回るジャンルの登場である。
キングでも相当大変であるが、それを上回るジャンルは想像すらできない。

この状況が近い将来待ち受けているとしたら、今のうちから準備をしなければならない。
どのようなジャンルの企業であっても働いていけるスキルを磨いておかなければならない。
その為にも、キングを経験することは間違った選択ではないのである。

キング オブ ブラック企業の見極め方、探し方

いざ就職しようにもキングを見つけることは難しい。

「当社はキングです」などと公言して募集していなからである。しかし、キングを見つけ出す手立てがないわけではない。

以下にキングの募集時の特徴を示す。一見すると、どこにでもある内容である。キングは内部に入ってからキングと判明する場合が多い。

創業者、社長の銅像がある

銅像がある会社が全てキングではない。

歴史のある会社で世界的にも有名な会社では銅像があるものである。キングの条件とし、あまり知られていない会社であるが、邪魔くさい所にこれでもかと言うぐらい神々しい銅像が置かれている場合がある。

創業者、社長が本を出版している

有名な会社では創業者が経営哲学を示した本を出していることが多いが、あまり知られていない会社であるが、創業者などが本を出版している場合がある。

過去の経営の苦労が書かれた物であるが、内容も乏しく面白みに欠ける。絶版になっている可能性もある。

即戦力募集

即戦力を募集している会社は多い。

キングも即戦力を募集している。但し、キングの場合は即戦力ではなく「超人」を募集している。24時間常に全力で働ける人間を探している。深夜に連絡してもつながることは当然で、早朝や深夜出社でも精神的、肉体的にへこたれない「超人」を募集している。

高待遇

募集要綱を確認すると、高待遇であることが多い。10人分の仕事を一人でこなすスキルが必要なので高待遇となる。給料の額面に魅力を感じて就職する者も多いが、あまりの激務の為、初任給をもらう前に退職してしまうものも多い。

面接で細かくストレス耐性を聞かれる

ストレスに対してどれだけ耐えることができるか細かく聞かれる。仕事に対する考え方、なぜ当社を選んだかなどの一般的なことは重要ではない。ストレス耐性だけが重要なのである。上司からの暴言や、お客様からの理不尽な扱いにも耐えられるストレス耐性が最も重要だ。

面接結果が高評価

ストレス耐性が高いと判断されると高評価となる。能力が高い為、直ぐにでも来てほしいとなる。可能なら明日からでも来てほしいと言われることもあります。

キング オブ ブラック企業で求められる能力

忍耐力だけである。

コミュニケーション能力、分析力、英語力など業務上必要な能力などは求められない。
なぜなら、忍耐力が無ければ務まらないからだ。忍耐力以外の能力はゴミでしかない。

TOEICが990点など必要ないスキルなのだ。

半年間は壊れないでほしい! 逃げないでほしい!

これが会社側の要求なのだ。着飾った能力よりも、踏みにじまれてもへこたれない忍耐力が必要なのだ。

キング オブ ブラック企業に入社してからの準備

キングと分かって入社した場合や、入社してからキングと判明した場合、直ぐに準備しなければならない事がある。
その代表的なことを示していく。

転職先の確保

キングは長期で働く場所ではない。入社したその日から、いや、入社する前から次の転職先を探さなければならない。

早ければ2日目からあなたは壊れ始める。余裕は全くない。至急転職先を見つけなければならない。

家族と生活をする

キングへ就職する時、一人暮らしはすべきでない。

日が経つにつれ、どんどんと壊れていく。壊れ具合の判断が自分では難しいため、

客観的に判断してくれる家族との同居が絶対条件となる。限界の一歩手前になったら教えてくれるよう家族に対して言っておけば、取り返しのつかない状況を回避できる。

ICレコーダー

一ケ月程度で退社する場合は必要ないが半年程度続いてしまった場合は、退職の際に強引な手法で引き止められる。

入社してから退職までの扱いを記録にのこすために、投げかけられた言葉など逐一録音しておき、退職を妨害された場合の奥の手として準備しておく。

私も退職の相談に応じてもらえず、ICレコーダに録音されていた上司からの「暖かい言葉」を突き付けることで、やっと相談ができることとなった。しかし、退職届は受理されなかったため、無断欠勤をすることで会社を離れることができた。

カメラ

スマホなどのカメラでも大丈夫である。
カメラには日付が入るものが必要だ。

終業時間以外に業務していることが発覚しないよう社内電話、メールなど時間外使用は禁止される。
そこで、会社にいる時間を記録に残すためにカメラで時計を撮影する必要がある。

会社の時計、取引先の時計、駅の時計、就業中のあらゆる場所で時計を撮影することになる。これらの時計が退職の交渉の際に無理をしてきた証拠となる。
必ず、日付が入るカメラで撮影する。

風呂に入れないことに慣れておく

1ヶ月お風呂に入れないことも頻繁に起きる。

お風呂に入らなくても不快に思わない精神力が必要だ。

暫く風呂に入らなくても普通に生きていける。

私が1ヶ月風呂に入らなかった時の体験を紹介しよう。

大丈夫な事が理解してもらえるはずだ。

1ヶ月お風呂に入らない!体に起こる8の変化 体臭や髪の毛は? – よつば君

まとめ

ブラック企業が世間を騒がせています。
労働基準法のことなど微塵も感じさせない企業風土、有名無実化した社内規定。

様々な分野でブラック企業の話題が出ております。

転職4回の私が経験した職業、職種もほとんどがブラックでした。
でも、経験した殆どの会社を私はブラックとは思いませんでいした。逆に、いい会社だなと思っていました。

でも、同僚たちは「ブラックだ! 耐えられない!」と言っていました。

それは、私が「King of ブラック」を経験していたからだと思います。
やはり、キングはすごい。想像を超えている思い出しても寒気がします。

キングを経験すると、世間を騒がせている企業も「限りなく黒に近いグレー」と思ってしまいます。
一度キングを経験すると、殆どの会社でやっていけます。一度はキングを経験することをオススメします。

でも、無理はだめです。

私も最後は心が折れました。
出社できなくなったのです。
朝起きたら体調は問題ないのですが、心が出社を拒否したのです。そこから1ヶ月心のリハビリを行い、社会復帰できました。
無理はしないように。

尚、ブラック企業からバックレたい時は以下の記事を参考にしてください。

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