持つ者と持たざる者。
格差社会の根本の問題である。
本人の努力によって得たものであれば、納得もできる。しかし、本人の努力によらず、運だけで得たものである場合、我々持たざる者は指をくわえて見ている事しかできない。
格差というより、不公平である。
いや、分かりやすく言うと「ずるい」。

そんな運だけで手に入る財産の代表格が「相続財産」ではないか。

生まれながらにして持つ者

「相続財産」は公平ではない。不公平である。
「相続財産」は、親、又は、その先祖の努力によって得た財産である。決して相続人の努力で得た物ではなく、その家に生まれた「運」だけで得た財産である。

「ラッキー!」だけで得た財産だ!

現金や有価証券、土地などの不動産であったり
受け継ぐ財産で相続人が受ける恩恵は計り知れない。
相続財産が無い人より、有利に人生を送ることができるのは間違いない。中には親の遺産でろくに働きもせず、一生遊んで暮らしている人もいる。
財産を築いた人が使うのであれば文句はない。血のにじむような努力によって得た財産である。本人の好きなように使えばいい。

但し、その家に生まれたという理由だけで、子供が財産を受け継ぐことに、持たざる者としては憤りを感じる。本当に羨ましい。いや不公平だ。貧困家庭に生まれたことを悔やんでもしょうがないが悔やまずにはいられない。

生まれた瞬間から埋めようのない格差が生まれている。 持つ者はその財産を運用し、さらに増やすことができ、さらに孫、ひ孫の代まで安定を手にする可能性が高い。持たざる者は「働けど我が暮らし楽にならず」が一子相伝の如く受け継がれることになる。

やはり、ずるい。

親から受け継ぐのは、人間としての生き方。大人としての生き方。これだけで良い。 金銭的な財産は、受け継ぐ必要がない。
そこで思いついたのが「相続財産没収法案」である。

相続財産は全て没収!

読んで字の如く、相続財産は国などに没収される。
親の財産が子に受け継がれない制度である。負債の場合は相続放棄などで受け継がなくても良いが、財産を相続する場合、放棄する人などまずいない。だから没収するのである。

現金や有価証券、土地などすべてが没収される。
持つ者になりえたものが持たざる者になるのである。 これで全ての格差がなくなるとは思わないが、だいぶ是正されるはずである。

生まれた瞬間から財産の格差が無い。これは、すべての人が平等に同じスタートラインから人生を始めることになる事を意味する。

親は一人前の大人となるよう、本当に将来困らない様、生き方を子供に教えることになる。また、子供はより親の生き方から良い物、悪い物を判別し、生きる肥やしにしようと自分に叩き込むようになる。

広大な邸宅に住んでいた友人が、親との別れをきっかけに、次の日から賃貸アパートに住むことになるかもしれない。
色々考えると、格差是正には良い法案かもしれないが、持つ者からの反発も強いであろう。そこで、次のような妥協案を考えた。

相続財産用途限定法

持つ者一族が、子孫まで持つものとなるのは、財産をさらに増やしているからである。一度増えた財産は更に大きな財を招く。なので、相続財産の使用用途を限定するのである。

財産を増やすためには土地などの不動産や、金融商品を購入することになる。それならば相続財産で購入することを禁止し、動産のみ購入可能とすれば良い。それが相続財産用途限定法案である。

法案の格子はこうだ。相続財産は一度、国庫に納めることになる。そうしないと動産を買ったと言って、土地などを黙って買う者がでてくる。国庫に納めれば、勝手に使用することはできない。

国庫に納めた相続財産を使用する為には、例えば、ボールペンを購入したのであれば、購入時の領収書を国に持って行き、国庫に納めた相続財産(現金)と引き換えるのである。少し面倒くさいが、これが確実な方法である。

動産であれば何を買っても良い。クルーザーを買ってもいいし、ジェット機を購入してもいい。

相続財産を増やすことができない仕組みが相続財産用途限定法案である。

土地や金融商品を購入しても、景気は上向かないが、物を買うことで、景気は上向くと思う。 しかし、この法案では、相続財産をすべて使いつくせない場合も考えられる。そこで次の法案が必要となる。

相続人限定法

相続は1代までに限る。
親から受け継いだ財産を使いつくせず、その孫が受け継ぐ、そんな可能性も考えられる。

先ほどの「相続財産用途限定法」では相続財産を一旦、国庫に納めてから使用することになるが、その財産は1代までの相続人しか使用することはできない。

相続した人が使いつくせず、相続財産が余ってしまった場合は、没収されてしまう制度である。 どうせ、最後は没収されるのであれば使い切ってしまえ!そう考えるのが人間である。

いい使い方をする人もいれば、あまり褒められない使い方をする人もいることだろ。いずれにせよお金を使うのだから、経済にとっては良いことである。

まとめ

相続財産ほどずるい物はない。

富裕層はずっと富裕層、貧困層はずーっと貧困層。世の中本当に不公平だ。
すべてが公平になるとは思わないが、生まれた瞬間から格差が広がる「相続財産」は格差の根源をなす問題だ。この問題を解決するには相続財産を没収するしかない。

貧困層が富裕層に這い上がるためには、人生を掛けた一発逆転の勝負に出るしかない。それも超ハイリスク、ハイリターンの勝負。

普通の感覚であれば怖くて出来ない勝負である。だからいつまでたっても、我々は貧困層なのだ。

ハイリスク、ハイリターンの勝負。その勝負に勝利して、あまりある財産を手に入れるのは良いことだ。しかし、その財産を子や孫が受け継ぐことには納得できない。

持たざる者の愚痴であるが、当然、私が持つ者になったら、こんな法案は反対だ!