よつば君

これが最後の晩餐?号泣して見送る人々。

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皆様の温かい言葉に勇気づけられている よつば君です。

 

最後の晩餐。そう書くと大げさだが、車で遠出しての外食が暫くできなくなる。

私がうつ症状の為、処方された物を飲まなければならず、その間は車の運転は禁止されてしまうのだ。

車に乗れなくなる前に、家族で外食に行くことになった。

最後の晩餐(外食)

子供たちに食べたいものを聞いたところ、小学校低学年の娘がしゃぶしゃぶが食べたいと言ってきた。

車で30分ぐらい走ったところに、しゃぶしゃぶ食べ放題がある。

何度か足を運んでいるが、超満員の状態で、1時間待ちがざらの店だ。

あまりの込み具合に、いつも諦めて、近くの回転ずしに落ち着いてしまう。

娘は、しゃぶしゃぶを食べたことが無い為、今回は1時間待ってでも食べたいとのことだった。

「よし、しゃぶしゃぶに行こう!」

私が目的地を告げると、娘の瞳が輝いた。

高校生の息子は「俺、行かない」とつれない態度だった。

暫く家族そろっての外食ができなくなる為、なかば強引に息子も連れ出した。

道中の社内では、娘がハイテンションだった。よっぽど嬉しかったのだろう。

友達の事、ゲームの事など、ピーチク パーチク喋っている。

何を言っているのか良く分からないが、「そうなんだ.。へえ~」などの合いの手を入れないと怒ってくる。

一方、高校生の息子はボケーと車窓を眺めている。行きたくないオーラ全開なのを隠(イン)を使って全力で消しているようだった。しかし、凝(ギョウ)を使わなくてもオーラを感じることができた。

隠(イン)や凝(ギョウ)の意味が分からない方は、ハンターハンターを読んでほしい。私のようにいい歳をしたオッサンでも面白いと思える作品(漫画)だ。

しゃぶしゃぶ店 到着。待ち時間は?

そんな事をしていたら、目的地のしゃぶしゃぶ食べ放題に到着していた。

いつもは混み合っている入口付近が意外に空いていた。

カウンターで待ち時間を確認すると、15分待ちとのこと。ラッキーであった。

 

入口に据え付けてある長椅子に、我々は腰かけて待つことにした。

5分もしないうちに店員が我々家族の名前を呼んだ。

「申し訳ありません。霜降りの黒毛和牛食べ放題が完売となりまして・・・」

壁に掲げられた料金表を見ると黒毛和牛食べ放題は1人6000円近かった。

6000円 × 4人家族=24000円 ⇒ 無理!

せいぜい1万円台の前半には抑えたい。

 

「大丈夫ですよ」家内がそう答えた。

 

そうこうしている間に、我々の名前が呼ばれ、座席に通された。

しゃぶしゃぶのダシは数種類あり、我々はすき焼き風を選んだ。

食べ放題なので、机に乗り切らんばかりの肉を大量に頼んだ。また、すき焼き風のダシにはもれなく生卵が付いてくるとのことだった。

すき焼き風って何?

早速、すき焼き風のダシと肉が運ばれた。

肉をおもむろにつかみ、ダシのなかで、しゃぶしゃぶと2~3回くぐらせた。

ダシから肉を引き上げ、生卵の入った小皿に肉を浸し、存分に肉と卵が絡み合った状態で、おもむろに口の中に放り込んだ。

 

「すきやきだ!」

 

これはしゃぶしゃぶではない。紛れもい「すきやき」だ。

上を向いて歩こうの英語バージョンだ!

 

しかし、家族で食べると美味しく感じるもので、すきやきだろうと何だろうと、皆満足して食べていた。

凝(ギョウ)でオーラを消していた長男も、無心に肉を食べ続けていた。

 

うつの為かあまり食欲のない私は、肉を3キレ食べただけで、お腹がいっぱいになってしまった。

食べ放題に来てもったいない、私だけ単品メニューにすればよかったと後悔していた。

 

そんな時、少し離れた席から嗚咽が聞こえてきた。

振り返ると、嗚咽どころか大の大人が号泣していた。

号泣していた人物がおもむろに立ち上がり、何やら語り始めた。

 

「俺はこの職場が好きだ。皆の事が大好きだ。転勤してもこの職場の事は忘れない。絶対に忘れない!」

 

あまりに大きな声だったので、他の客人たちも静まり返ってしまった。

どうやら職場の仲間内で号泣している方の送別会をしているようだった。

 

号泣している人はかなり出来上がっており、感情を留めることができなかったのだろう。

傍らに座っている仲間が立ち上がり、そっとハンカチを渡し、座るように促していた。

ハンカチを受け取ると、そのままハンカチで顔を覆いつくすように押し当て、たったまま、むせび泣いてしまった。

見ていた私も、もらい泣きしてしまった。

事情は良く分からないけど、いい環境で仕事できた人を見て、少し羨ましく思った。

 

これから私は休職する。仲間にも迷惑をかける。

でも職場を離れる時に涙を流すことができるか。たぶん、ガッツポーズをしてしまうかもしれない。

そんなことを考えていた。

 

「お父さん、あの人なんでお肉食べて泣いてるの?」

娘が問いかけてきた。

「たぶん、黒毛和牛コースなんだよ」

何も考えずに私は答えた。

「そんなに美味しいの?次は絶対に黒毛和牛のコースにする!絶対だよ!約束だよ!」

しまった。余計な事を言ってしまった。

暫く運転できないから、その間に黒毛和牛の事を忘れて欲しいと願う、うつの私であった。

 

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