最近、急に近くが見えにくくなった。
昔から、目は良い方ではなく、近視と乱視持ちのため、メガネを愛用している。
前は、目に力を集中すれば見えていた。
それが見えない。
どうしたことだ。疲れが溜まっているのか?
1周間しても症状に改善が見られないので、眼科の門を叩くことにした。
眼科で驚愕の診断結果が
平日に訪れたので、院内の患者は少なかった。
受付で問診票に病状を記入し、暫く待つと、程なくして診察室に通された。
先生に席に座るよう促され、腰を掛けようとした時、
「老眼ですね。今日はメガネを作るために来たの?」
先生からの突然の問いかけに困惑しながら私は事情を説明した。
「最近、近くが見づらくなって、眼の調子が悪く・・」
私の話をさえぎる様に
「老眼ですね。メガネ作るんでしょ」
私も負けじと
「いや、メガネではなくて、最近近くが見えづらく」
「だから、老眼ですよね!」私の言葉を無視して先生が答えた。
私の頭のなかで「老眼」が響き渡った。
困惑する私を見て先生も状況を理解したようでやさしい口調で語りかけてきた。
「メガネを取って近くを見てください」
私はメガネを外して、顔に近づけた手のひらを見つめた。
「見える!」
全然見えなかった手のひらが、メガネを外しただけで見える。どういうことだ。
「それが、老眼です。」
またしても私の頭に「老眼」の言葉が響いた。
そんな時、ある光景が頭によみがえった。
高齢の方が、新聞などを読む時、掛けていたメガネを頭にずらしていた光景を。
あの方たちは、みな老眼だったのだ。
メガネが邪魔なのかな。おしゃれメガネなら掛けなければ良いのにと幼心に疑問に思っていたが、あの方々は老眼だったのだ。
でも、老眼にしては早過ぎる。メガネをずらしているのは高齢の方ばかりだ。
「でも、まだ40代半ばですよ。私は」そんな疑問に先生は
「立派な老眼です。」
落ち込む私をよそに、先生は話を進めました。
「メガネを作るんでしょ」
「しばらく、考えさせてください」そう言って私は家路についたのでした。
まだまだ若いと思っていたのに、体は着実に老化している。それを実感させられた。
しばらくは何も考えることが出来なかった。
今、この記事も、メガネをずらしながら書いている。
メガネをずらすとよく見える。悔しい。
老眼には遠近両用メガネが良いとのこと。
遠近両用メガネを購入するか迷っている。
同世代の知人に話したところ「俺も老眼だよ」と明るく言われた。
年をとったものだ、もう無理は出来ないと思った今日このごろであった。